こんにちは、現役公認会計士の植村拓真(うえむら たくま)です。
- 大学在学中に公認会計士試験に一発合格
- 大手監査法人での勤務経験を経る
- 現在は独立している
私は上記のような現役の公認会計士です。
さて、そんな現役公認会計士という立場である私から、公認会計士を目指して後悔したくないあなたへ、いくつかアドバイスをします。
少し厳しい話をしますが、早めに現実を知っておいたほうがあなたの人生に役立つので、最後までお付き合いください。
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監査法人で働くのは普通の会社員とほぼ同じ
あなたは今、大学生ですか?もしかしたら社会人かもしれないですね。
あなたはなぜ、公認会計士を目指すのでしょうか?
- 地位と名誉が欲しい
- 高収入が欲しい
- 安定が欲しい
- 独立したい
- スマートに働きたい
- 先生と呼ばれたい
- 一般的な就活を行いたくない
- 会社員生活に嫌気がさした
上記のように理由はさまざまだと思います。公認会計士を目指している方の中には
「普通のサラリーマンは嫌だ!」
と考えている方も多いでしょう。そして、公認会計士になれば普通のサラリーマンから逃れられると、考えている方もいると思います。
甘いです。
公認会計士試験に受かったら、あなたは監査法人へ就職するでしょう。しかし、監査法人は普通の会社で働くのとほとんど変わりません。給料は一般企業よりもかなり良いのですが。
業務内容は、ひたすら会社の資料とにらめっこしたり、エクセルと格闘したり、部下や後輩の面倒を見たりです。向いている人にとっては仕事が楽しいと感じるかもしれませんが、向いていない人にとってはとことん楽しくありません。
あと、残業が結構多いです。特に、東芝の不正会計処理事件が発生したときは、世間から監査法人に一層厳しい視線が向けられるようになり、監査で調べなければいけない項目が増えて、業務量もかなり増加しました。
事件のせいで、私が監査法人で働いていたときは、定時で上がれる日なんて無いに等しかったです。スタッフは毎日事務所で遅くまで残り、責任を持って仕事に取り組んでいました。終電帰りは珍しくもなんともなかったです。
そんな悲惨な状況を「専門家たるもの、日々業務後の時間で自己研鑽に励んで当然!」だとか「定時後の勤務時間は自己学習!」と言う公認会計士もいて、ストイック過ぎるとよく思ったものです。
※最近は監査法人でも働き方改革が進められており監査手続の見直しが行われました
※今は以前より業務量も少なくなり定時で上がれるケースも増えています
公認会計士が独立して成功するのは半端な覚悟では難しい
あなたは、監査法人でそこそこ経験を積んだら、いずれは独立したいと思っているかもしれません。しかし、独立は簡単にできるものではありません。そして、そもそも公認会計士として独立するのはかなり難しい話です。
公認会計士試験の受験生であれば知っていると思いますが、公認会計士の独占業務は会計監査です。監査は、それこそ上場しているような大企業を相手にする業務なので、一人だけではとても出来ない業務です。
それこそ、監査法人に勤めている公認会計士たちがチームを組んで、日々奮闘しながら遂行しているような業務です。もし、監査だけで独立したいなら、小規模な企業や団体を相手にするなどの戦略が必要になってきます。
というわけで、公認会計士が独立するときは、公認会計士登録とは別に税理士登録も行って、税務申告の代行や税務のコンサルタントとして独立するパターンがほとんどです。
税理士も供給過多で競争が厳しいため、税理士としてうまくやっていきたいのであれば、集客や営業などのスキルを別で身につける必要があります。
まあ、競合が少ない分(難しい試験を突破した人じゃないとできない分)、飲食店や喫茶店などで独立するよりは実行しやすいですけどね。特に「私は会計・税務を愛していて、どうしてもそういった仕事に携わりたいんだ!」といった情熱を持っている方なら、尚更成功しやすいです。
とはいえ、単純に普通の会社員生活が嫌で、独立さえできればなんでも良かった、独立するのにちょうど良さそうだったから公認会計士を目指した、といった方が何も考えずに独立して成功できるほど甘くありません。
独立するからには中途半端な覚悟ではダメです。収入が安定するまでひたすら仕事したり、自己研鑽したりしていかなければいけません。とはいえ、公認会計士試験と同じくらい本気で頑張れば割と成功できます。
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公認会計士を目指すリスクも考えておきましょう
監査法人は少し忙しめの高給サラリーマンって感じです。高給というだけで十分目指す価値があるのかもしれませんね。私が監査法人で働いていたときは、一部の先輩や同僚は「やりがいを全く感じない」「残業いやだ」「早く帰りたい」「飲み会つまんない、行きたくない」という方もいました。
また、監査法人に残っていても成長ができないという理由で、他の一般事業会社に転職した先輩もいます。それから、公認会計士として独立するのも簡単ではないし、やるからには半端な覚悟ではできない、ということでしたね。
さて、今回お話した内容を読んでどう思いましたか?少し現実的で厳しめなお話もしました。公認会計士になりたいのなら、これまでお話したような現実的な話も考慮に入れたうえでそれでも公認会計士になりたい!と思える人が目指すべきです。
公認会計士試験の勉強を進めるためには、あなたの貴重な時間とお金を使わなければいけないわけですからね。
まず、予備校の学費がものすごくかかりますね。私が受験生だった頃は60万~80万円くらいかかりました。しかも、一回目の試験で合格できなかったら、また新しく過年度生向けの講座を申し込まなければなりません。これにも追加で40万円以上必要です。
受験勉強に専念しているとバイトや仕事ができないので、そんな大金すぐには用意できないことでしょう。そこで、親から借金するかまたは銀行や消費者金融などから借金するなどの策を取らないといけません。
無事に公認会計士になれればそれくらいの借金すぐに返せますが、なかなか試験に合格できない、借金を背負い続けるリスクも考えておかなければなりません。
色々と話しましたが、お金の話は働けば解決するので、深く考える必要はありません。公認会計士試験の勉強では、高くてもせいぜい数百万円くらいの借金で済みます。数千万円かかりはしないはずなので、いずれ返済できるレベルの話です。
一方で、時間だけは本当に取り返しがつきません。あなたが一生懸命勉強に使ってきた時間は、何をしようとも戻ってきません。あなたは何年勉強に時間を費やしてきましたか?半年、1年、2年、それとも3年以上でしょうか。
いずれにせよ、公認会計士試験の合格を目指すなら、長期間にわたる時間を勉強だけに使わないといけないわけです。あなたの人生にとって最も貴重な資源である時間をです。
特に、あなたが20代だったら要注意です。人生で最も楽しくて働き盛りな時期を、勉強だけに使うなんてもったいないと思いませんか?そこまでの犠牲を払っても、もし、試験に合格できなかったら…、お金が足りなくなったなどで、公認会計士になるのを諦めてしまうような結果に終わってしまったら…。
そんなこと、想像したくもないことですよね。新卒での就職のタイミングを逃して、ひたすら勉強だけに励んで、変に知識だけは身に付いて、プライドだけは一人前になってしまったけど、結局試験には合格できずに終わってしまって。
気付いたら自分もいい年齢になっていますが、ふと周りを見渡すと同級生の友達は結婚したり、会社で出世したり、楽しそうに暮らしているわけです。そんな中、自分には実績も何もないわけで。自分にあるのは、受験勉強で身に付けた多少の知識とプライドだけです。
頑張って就活したところで、元公認会計士試験の受験生というだけでは、どこの会社も評価してくれません。実務では役に立たないような知識しか持っていないのに、プライドだけは高い人間なんてどこの会社も雇いたくないでしょうから…。
そんなリスクを、あなたはきちんと考えられているでしょうか。そういうリスクを背負ってでも「絶対に公認会計士になりたい!」と思えるでしょうか。
公認会計士試験から撤退か短期合格を目指すか
あなたも、もし本記事を読んで公認会計士を目指すという気持ちが揺らいだのであれば、今すぐ公認会計士試験から撤退すべきです。厳しいことを言いますが、この程度で気持ちが揺らぐなら、試験勉強を突破するのも公認会計士になってから実務の世界で生き抜いていくのも厳しいです。
きっと、公認会計士になっても後悔します。有無を言わさず、とっとと撤退しましょう。傷が浅いうちに、取り返しがつかなくなる前に撤退しましょう。もしくは、先ほど挙げたようなリスクを回避するために、今すぐ最短で試験に合格すべく頑張るかです。