こんにちは、現役公認会計士の植村拓真です。
私は、公認会計士試験に大学3年生のときに5月の短答式試験と8月の論文式試験に合格して、在学中合格・一発合格を成し遂げました。
それだけ早いうちに公認会計士試験に合格できたので、大学に在学しているときから監査法人の非常勤職員として働くことができ、監査業務という社会的責任の大きい業務に若い頃から携わることができました。
そのおかげで、私は20代半ばと公認会計士業界の中ではかなり若い年代で独立をすることもできました。
これも、公認会計士試験に短期間の勉強で合格できたおかげです。
とはいえ、短答式試験は非常に高難易度な試験です。
公認会計士・監査審査会のホームページで合格率のデータを見ても、12月の第Ⅰ回短答式試験の合格率は10%程度、そして5月の第Ⅱ回短答式試験はなんと合格率5%という、非常に厳しい数値です。
受験生の母集団のレベルも、難関国公立大学出身の人や難関私立大学出身の人が受験する、とてもレベルの高い試験です。
それだけハードな試験のため、この短答式試験に何年も連続で落ちる人が続出しています。
大半の人が、短答式試験に合格するまで3年とか4年、あるいはそれ以上のものすごい長い時間をかけて勉強しています。
一発合格する人でも、短答式試験の勉強だけに2年近くかかっているでしょう。
しかしながら、この短答式試験に合格しないと、次の論文式試験は受験できません。公認会計士になるために、最初に突破しなければならない壁です 。
非常にハードルの高い試験ですが、公認会計士というプロフェッショナルの資格を得るためには乗り越えなければならない壁だと認識して、気合を入れて取り組んでいく必要があります。
そこで本記事では、私が短期間の勉強で短答式試験を突破した勉強法を科目別にまとめました。
短答式試験の勉強時間を最小限で済ませるための勉強法などを余すことなくお話していますので、お見逃しなく。
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短答式試験の全体像
12月と5月の2回に分けて実施される短答式試験は、
- 財務会計論
- 管理会計論
- 企業法
- 監査論
以上の4つ試験科目があります。
合格点の基準は、おおよそ7割程度の得点です。
短答式試験の特徴は、何と言ってもその試験範囲の膨大さにあります。
特に、財務会計論は、計算も理論も範囲が膨大で、かなりの勉強時間を割かなければなりません。
私が利用していた予備校では、財務会計論の計算のテキストだけでも、平均200ページを超えるテキストが12冊も配られました。
加えて、膨大な量の問題集や答練もこなさないといけなくて、かなりキツかったことを覚えています。
それ以外の科目も財務会計論ほどではないにせよ、分厚いテキストや問題集がいくつも配られて、しっかりとこなしていくのにもかなりの時間がかかってしまいます。
その膨大なボリュームをこなすことができず、途中で試験勉強から撤退していく受験生が後を絶ちません。
実際に、私が受験生だったときも、短答式試験の勉強の途中でドロップアウトしていく人たちをたくさん見てきました。
ここで一つ主張したいことがあります。
予備校で配られる教材をこなせず、勉強からドロップアウトしていく人たちは、その人達の勉強のやり方がおかしかったからに他なりません。
うまく勉強を進めていけば、最小限の時間や努力で教材を消化できますし、短答式試験にも短期間のうちに合格できるでしょう。そのためにも、早いうちから勉強の基本的な方針を決めて、戦略的に勉強していきましょう。
ではさっそく、短答式試験の科目別の勉強法について解説します。
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-短答編-財務会計論の勉強法
財務会計論は、大きく計算(簿記)と理論(財務諸表論)に分かれます。
本試験での大まかな配点の比率は、計算が6で理論が4です。
特に、簿記の試験範囲がものすごく広いので、公認会計士試験の勉強を始めた段階から、しっかりとスケジュールを組んで戦略的に学習していかなければなりません。理論よりも先にマスターしておくのがオススメです。
簿記の勉強では、テキストを何度も読み返すより、同じ問題を何度も繰り返し解いていくなかで、仕訳や会計処理を体に覚えさせる勉強法がおすすめです。
「簿記はスポーツだ」と世間一般でも言われているとおり、とにかく問題演習をこなしてひたすら実践を積んでいきましょう。
また、限られた時間で効率的に勉強を進めるには、問題を早く解けるようにする意識が欠かせません。
そのためにも、勘定科目を略して書くことで、書くのにかかる時間を減らしたり、電卓のブラインドタッチを身に付けておいたりすることが大事です。
特に、電卓のブラインドタッチは実務についてからも必須のスキルになるので、早い段階でマスターしておきましょう。
また、財務諸表論も範囲がものすごく広いです。
とはいえ、問題演習を繰り返したりテキスト何度も読み返したりすることで、どんどんと理解が深まっていきます。
特に、簿記をマスターしたあとに財務諸表論の勉強をやると、簿記で学んだ仕訳や会計処理について「どうしてそういう処理が必要になるのか」という制度趣旨に対する理解も深まってくるので、シナジー効果を期待できます。
財務会計論の勉強法については、こちらの記事でも詳しく解説しています
-短答編-管理会計論の勉強法
私は管理会計論がめちゃくちゃ得意で、本試験では9割の得点を得ることができました。ほぼ満点に近かったですね。
とはいっても特別なことは何もしていなくて、普段どおりの効率的な勉強法を意識していただけなのですが。
さて、管理会計論も、計算と理論に分かれます。
計算の勉強のときは、財務会計論のときと同じく、とにかく多くの問題にひたすら当たって解法を身に付けましょう。
計算の問題演習のときは、たとえば総合原価計算のボックス図や製造間接費の予算差異分析図を書いたりして、とにかくひたすら手を動かすことが大事です。
手を動かして、図の書き方を体に覚えさせるようにしましょう。
また、管理会計論の理論は、財務諸表論と違ってボリュームは少なく、勉強にかかる時間も少しで済みます。
最悪、試験直前から勉強を始めても、なんとか間に合うくらいのボリュームですので、まずは計算から重点的に仕上げていくようにしましょう。
私も、管理会計論の理論は予備校の自習室までの通学に使ってた、電車の中の勉強だけで仕上げました。
管理会計論の勉強法については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
-短答編-企業法の勉強法
企業法は、すべて理論問題が出題される科目です。企業の仕組みやルールについて勉強する科目ですね。
ボリュームは多い科目ですが基礎的な問題しか出題されないため、しっかり勉強しておけば高得点を狙えます。
私も、企業法では9割の得点を獲得できました。
1つの科目で9割取れると、たとえば他の科目で失敗して6割しか取れなくかった場合でも、企業法のように9割取れた科目がその失敗をカバーしてくれるので、非常に楽です。
努力したら努力した分だけの点数が返ってくる科目なので、企業法は8~9割の得点を目指した勉強をしておくのがおすすめです。
基本的な勉強の進め方としては、まず問題演習を一通りこなしてしまって、科目の全体像を掴みます。そこから、テキスト通読を最初から最後まで一気に進めていくというやり方が良いです。
企業法は、会社法に関する問題が本試験の問題の大部分を占めるのですが、金商法や商法も数問は必ず本試験で出題されているので、金商法や商法もサボらずに出題傾向を分析して、しっかりと勉強していきましょう。
ちなみに予備校の講師の中には「企業法の勉強のときには必ず六法を引くこと!」と指示してくる方もいますが、短答式試験の勉強のときには不要です。
条文を引くのに使っている時間がもったいないですし、試験もテキストの読み込みだけで十分に対応できます。
企業法は試験範囲がものすごく膨大なので、問題集も手広くこなしておいて、できるだけ多くの問題にあたっておきましょう。
企業法の勉強法については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
-短答編-監査論の勉強法
監査論も、すべて理論問題が出題される科目です。
ボリュームはそこまで多くないですが監査実務と直結している科目なので、実務経験のない受験生にはとっつきづらく、非常に難易度が高いです。
安定して8、9割の高得点を取るためには、物凄く膨大な勉強時間がかかってしまいます。
実際に、監査論の勉強に集中しすぎて、監査論では9割取れたけど、財務会計論や管理会計論など他の科目の勉強が不十分になってしまって、財務会計論6割・管理会計論5割、のような点数になってしまい、結局短答式試験に落ちてしまった受験生もいます。
そういう意味でコスパの悪い科目なので、勉強にはあまり時間はかけすぎないようにしましょう。
最低限の勉強で、7割くらい安定して取れるようになったらもう十分です。最悪6割から6割5分くらいの完成度でも、企業法などの別の科目でカバーできます。
基本的な勉強の進め方としては、企業法のときと同じく、まずは問題演習を一通りこなしてテキストをイチから通読していくのが良いでしょうね。
また、監査論の問題のほとんどが監査基準委員会報告書から出題されているため、時間に余裕があれば監査基準委員会報告書の読み込みをやっておくのも有効です。
監査論の勉強法については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
最後に
今回は、短答式試験の科目別勉強法について解説しました。
繰り返しになりますが、短答式試験は12月が合格率10%程度で、5月が合格率5%程度という非常にハードな試験です。
合格するだけでも一苦労なのですが、それを短期間の勉強で一発合格しようと思ったら、もっとうまい勉強のやり方を実践していかないといけません。
逆に言えば、うまく勉強をやっていけば、短期間の勉強でも試験に突破できます 。短答式試験を短期間で突破できれば、在学中の合格も夢ではありません。
短答式試験に合格すれば早く監査法人で働けることに繋がるので、今までのように周りの目を気にすることもなくなり、将来的な不安や経済的な不安も解消されます。
実際に短答式試験に合格すればものすごく自信もつきますし、もうすぐ公認会計士になれるという臨場感が湧いてきます。それが勉強へのモチベーションアップにも繋がってくるのです。
また、論文式試験は短答式試験とは異なり合格率が30%ほどあって、短答式試験より合格するのは楽なのです(もちろん生半可な努力では合格できない試験ですが )。
だから、短答式試験にさえ合格できれば、公認会計士試験を制するまで秒読みの状態になれます。短答式試験を早く突破できる人と何回も落ちてしまう人の違いは、勉強のやり方がすべてです。
私も、1、2年以上前から短答式試験の勉強を始めた受験生を追い抜いて、短答式試験に合格できました。私よりも前に勉強していた受験生は落ちていましたが…。
私は勉強のやり方を変えただけです。