植村拓真が公認会計士になるまで

はじめまして、植村拓真(うえむら たくま)と申します。私は20代半ばの男性で、職業は公認会計士・税理士です。
現在は公認会計士を続けつつ、東京の会計事務所で代表税理士として活動しています。
公認会計士を目指したのは大学生のときで、自分流の勉強法を実践して試験勉強に取り組んだ結果、無事に大学在学中に公認会計士試験に一発合格できました。
以下は、公認会計士試験に合格したときに内閣府から送られてきた合格証書です↓
写真のとおり、私は平成4年生まれで平成25年に合格しているので、21歳(当時大学3年生)のときに合格したとお分かりいただけたと思います。
本試験での成績は以下のとおりです。
5月短答式試験の成績
財務会計論 | 150 |
管理会計論 | 90 |
企業法 | 90 |
監査論 | 65 |
(※成績表が手元になくてうろ覚えですが、大体こんな感じです)
監査論で少しミスしましたが、他の科目はボーダーの7割を超えました。
8月論文式試験の成績
論文式試験の勉強にはほとんど手が回っておらず、5月の短答が終わってからほぼゼロの状態で論文対策の勉強を始めたのですが、それでもこれだけの得点が取れたので、よくやったほうかなと思います。
短答とは反対に監査論が良くできました、科目合格レベルです。
公認会計士試験に合格したあとは、2週間程度の就活を経て某大手監査法人から内定をいただくこともできました。
内定をもらったのが同じく大学3年生のときだったので、卒業するまでの一年間、時間に余裕ができてしまいました。
就職までの時間を使って、監査法人の非常勤職員として働いてお金を稼いだり(学生では考えられないくらいの高い時給を頂いていました)、監査法人で稼いだお金を使って、外国に語学留学へ行ったりしていたわけです。
卒業後は内定をいただいていた監査法人に就職して、そこで製造業、不動産業、物流業、放送事業、学校法人など、数多くのクライアントの内部統制監査、財務諸表監査を経験しました。
そして、監査法人に入所してから2年後、修了考査に合格すると同時に監査法人を退職して独立することになりました。
これが24歳のときの話です。
独立してからは、監査法人の非常勤職員として監査業務に携わるかたわら、主に営業や経営について学んでいました。
そんな私が現在、何をやっているのかというと、さまざまなことをしています。
- 個人事業を立ち上げ
- 独立や起業を指南するコミュニティ運営
- 自営業仲間たちと会社を設立
- Web通販会社の社長さんと共同で事業を回る
- 会計事務所を設立して所長を務める
などです。どれも楽しくて仕方がないです!
今は本当に、自分がやりたいと思った仕事だけできています。
仕事が楽しいって、本当に幸せなことだと思います。一日の大半の時間が仕事に使われるわけですから、仕事が苦しいとかつまらないとかってハッキリ言ってありえません。
自分がやってて楽しくて、それがお客さんの役にも立つこと。そして、利益もしっかりと出すことが仕事の理想の形だと思います。
もちろん、現在まで順風満帆に来られたわけではなくて、さまざまな悩みやトラブルがありました。
本当に色々ありましたが、今回は公認会計士試験の勉強をしていた頃の話をメインに紹介します。
私が公認会計士を目指した理由
私が公認会計士を目指そうと決心したのは、大学一年生のときでした。
公認会計士になろうと思った理由はいくつかありますが、主な理由は以下の3つです。
- 大学受験のリベンジがしたかったから
- 将来が不安だったから
- 大学の公認会計士セミナーに刺激を受けたから
順番にお話していきます。
大学受験のリベンジがしたかったから
私は高校生のとき、第一志望の国公立大学に向けて勉強していたのですが、当時、かなり勉強をサボっていました。
高校3年の夏くらいの時期になって、ようやく本格的に受験勉強を始めたくらいのレベルです。

当然、試験までに勉強が間に合うわけがなく。
なんとか滑り止めの私立大学には合格できたのですが、第一志望の大学には落ちてしまいました。
その後、浪人するかどうかでかなり悩んだのですが…。
いろいろ考えた結果、若い頃の一年間を大学受験だけに費やすのはもったいない、大学受験という過去に引きずられるよりも、これから自分が、大学に入って何をしていくかという未来を見て行動したほうがいいなと考えました。
そして、浪人はせずに滑り止めの私立大学に入学することに決めたのです。
とはいえ、やはり第一志望の大学に落ちたのがかなり悔しかったです…!
大学に入ったばかりの頃は、サークルの新歓イベントに参加したり、大学の講義を受けたりしている間も、どこかでモヤモヤとした気持ちがありました。

という思いが常に頭の片隅にあって、そんなときに私が目をつけたのが公認会計士の試験だったのです。
将来が不安だったから
また、当時大学生だった私には、漠然と将来に対する不安もありました。
一昔前と違って、今の時代は会社に就職できたとしても、いつ会社が倒産するかは分かりません。
また、ある日突然、リストラで自分のクビが切られるかもしれません。

一つの会社や組織だけに頼っていては生きていけない、厳しい時代になってきています。
それから、一般的な社会人の働き方に疑問がありました。
大学を卒業したら会社に就職するわけですが、思うとおりに働けないケースもありますよね。
たとえば、自分は営業がやりたくても、会社の都合で人事や広報など、希望とは異なる部署に配属されるケースもあるわけです。
そして、ようやく配属された部署での仕事を覚えてきたと思ったら、また転勤や部門異動などで、これまでやってきた業務とは全く別の業務をやらされることもあります。
こんなことでは、いつまで経ってもスキルアップできません。
要は、普通の会社に就職したところで、専門性が磨けないということです。
日本では昔から就職ではなく就社が前提になっているので、今まではこういう働き方が成立していたわけなんですけど、変化の早いこれからの時代は、何か一つの専門性を持っていないとキツいです。
自分が働いている会社の中だけでしか役に立たない能力を身に付けたところで、その会社が倒産すれば終わりですからね。
そこで私は、会社や組織の動向に左右されない、自分に帰属する、専門的なスキルを身に付けたいと考えるようになり、そのうちの一つの選択肢として公認会計士もアリだな、と思ったんです。
大学の公認会計士セミナーに刺激を受けたから
こんな感じで公認会計士への興味が高まっていたある日、大学で「公認会計士という資格について徹底解説します」的なセミナーが開催されていたため、参加してみることにしました。
セミナーでは大学OBの公認会計士の方が色々とお話をしてくれて、公認会計士は、
- 会計・監査のプロフェッショナルとして、専門的な業務に携われる
- 若くして社会的責任の高い仕事ができる
- 一般的なサラリーマンよりも高収入
- 医師や弁護士と並ぶ三大国家資格
- 自分の実力次第で、将来的に独立することもできる
- 今は業界的に売り手市場なので、試験に合格できれば監査法人への就活は余裕
ということを知りました。
そして何よりも、大学OBの公認会計士の方たちから話を聞いていくうちに、私も「専門スキルを活かして誰かの役に立ちたい!」という思いが強くなってきて、「公認会計士になりたい!」と考えるようになりました。
そこで私は、まずは試しに日商簿記を受験してみることにしました。簿記の勉強をしてみることで、公認会計士試験のイメージが付くかな、と思ったからですね。
知識ゼロから勉強を始めたところ、2カ月くらいの勉強で日商簿記2級に合格できたので、私は本格的に公認会計士を目指すことに決めたのです。
試験勉強を開始〜初受験までの話
公認会計士を目指すと決めてから、私はさっそく、某大手予備校の講座に申し込んで受験勉強をスタートしました。
予備校の学費を支払えるだけの財力がなかったため、お金は親から借りました。
もちろん、借りたお金は公認会計士になってから返済しますといった内容の契約書を交わしてです。
予備校に通い始めた頃は、勉強に対するモチベーションもかなり高くて、
- きちんと予備校に通学
- 真面目に講義を受講
- その日のうちに講義で扱った内容の復習
と、優等生のように勉強を続けていました。

と思ってました。
しかし、高いモチベーションも長くは続かなかったのです。
当時、私が通っていた予備校の講師の授業がかなりわかりづらく、おまけに講義の時間も1コマ3時間もあって、ものすごく長く感じたのです。
また、授業中に居眠りしている受験生、飲みに誘ってくる受験生、講義をサボっている受験生などがいて、彼らに勉強に対するモチベーションを下げられたりもしました。
定期的に実施される実力テストでも、なかなか良い成績を取ることができませんでした。

それに、何かと遊びの誘惑の多い大学生です。ふと周りを見ると、バイトやらサークルやら旅行やら留学やらボランティア活動やらで、キャンパスライフを謳歌している学生たちで溢れていました。
TwitterやFacebookなどのSNSを見ても


みたいに、楽しそうにやっている人たちがたくさんいたわけです。
そんな様子を見ていて、

なんで俺はこんなに勉強ばっかりしているんだろう?一生に一度の大学生活、勉強だけに費やすのはもったいなくないかな?
みたいに悩む機会が多くなりました。
そんなことを考えていると、次第に勉強が手につかなくなってきて、所属していた大学の軽音楽サークルや飲食店のバイトに顔を出す日が多くなりました。友達と旅行したりしていましたね。
そのせいで、一日に一時間程度の勉強しかできない日や全く勉強をしない日も増えていきました。
とはいえ、サークルやバイトに出たり、旅行に行ったりしても、今度は

みたいに考えてしまって、遊びも満足に楽しめない状態にありました。
はたから見たら「君は一体何がしたいの?」って感じだったと思います…w
そんな葛藤の日々が結構続いたのですが、気が付くと12月の短答式試験までもう3カ月しか残っていないくらいの時期に迫っていました。
さすがにヤバイと思って、慌ててサークルを辞めて、バイトも長期休暇をもらって、勉強だけに専念することにしたのですが、そのときの私の実力も、まだ基礎的な知識すら固まっていないような状態でした。
そこから3カ月間、ちょっと勉強したくらいで試験に間に合うわけがありません。
そんなめちゃくちゃな状態で、12月の短答式試験を受けに行ったわけですけど、結果は当然不合格に終わってしまいました。
12月短答が惨敗に終わってから立ち直るまで
こうして、12月の短答は不合格という結果に終わったわけですけど、不思議と「悲しい」だとか「悔しい」みたいな気持ちはありませんでした。
それどころか
「まあ、あれだけ勉強してなかったらそりゃ落ちるよな!当然の結果だと思うし、別に悔しくないしw」
みたいに謎に強がっていました。
で、そこから性根を叩き直して、また試験勉強に集中できたら良かったのですが…
12月短答直前の勉強で燃え尽きてしまったせいで、私はあろうことかお休みしていたバイトを再開させてしまったのです。

本来なら、12月短答に落ちた原因を徹底的に分析・反省して、すぐにでも勉強だけに集中すべきだったんですけどね。
あのときの自分は、どうしても勉強に戻れませんでした。
こうして、サークルも途中で辞めたし、公認会計士の試験も不合格になって、やっていることといえばバイトだけの、何とも中途半端なスペックの大学生ができ上がりつつありました。
この時期は私自身、自分が結局どこに向かいたいのか、将来何がしたいのか、分からなくなっていたように思います。
そして「こんな中途半端な学生、どこの企業が採用してくれるんだよ」とか「将来は引きこもりのニートになるんじゃないか」みたいに、かなり思いつめていましたね。
なかなかにイケてない苦しい時期でした。
こういう時期に、何か衝撃的な出来事が発生して自分の考え方が変わった、誰か立派な人に出会って助けてもらった、みたいな話があれば美しいストーリーとして語れるんですけど、まあ普通に何も起きなかったです。
単純に、一人で思い悩んでる日々が続いているだけの、なんとも現実的な毎日を過ごしていました。
ただ、私はつらい時期や苦しい時期って、もちろん誰かに話を聞いてもらったり、相談に乗ってもらったりするのも大事だと思うんですけど、最終的にはやっぱり、自分の力を信じて乗り越える必要があると思ってるんです。
試験勉強はもちろん、人生においてもそうだと思います。
だから、私もしばらくはつらく苦しい時期が続きましたが、やっぱりいつまでもくすぶってばかりじゃいられないし、もっと自分の力を信じてあげたい、自分ならもっとできるはずだ、という思いが12月短答が終わってから2カ月後くらいにですかね、ふつふつと湧いてきたのです。

もう一度、公認会計士試験の勉強を頑張ろう。
そう決意して、再びバイトも休んで、公認会計士試験の勉強だけに専念するようにしました。それが5月短答の3カ月前、3月くらいのときです。
5月短答合格からの8月論文一発合格
そこからはほんと、人が変わったように勉強に専念しました。
とはいえ、すでに5月の短答までギリギリの時期まで迫ってきていましたし、勉強にかけてきた時間も周りの受験生に比べれば圧倒的に足りていませんでした。
そんな状況で、周りの受験生と同じような勉強をしたところで、周りの受験生を打ち負かせるわけがないと私は考えました。
そこで私は、周りの受験生がやっているような勉強のやり方をすべて無視して、自分流の勉強法を編み出し、試験本番までその勉強法を実践していきました。
そして、自己流の勉強法がうまくいって、私は無事に5月の短答式試験に合格できました。ちなみに、そのときの5月短答式試験の合格率は5%でした。
しかし、5月の短答式試験を突破しても、8月には論文式試験が控えています。論文式試験まで合格しなければ、公認会計士試験に合格したとはいえません。
また、論文式試験は年一回しかないので、論文式試験に落ちてしまったら一年待たなければいけないわけです。
というわけで、
「結局、5月短答に合格したところで8月論文に合格できなければ意味がない」
私はそう考えていました。
とはいえ、本番まで残り3カ月しかないですし、論文式試験の対策にもほとんど手が回っていなくて絶望的な状況だったわけです。
でも、

そう強く思いながら、私は自分流の勉強法を続けました。
そして8月、論文式試験を受験して、結果は合格でした。
成績は冒頭にお見せした写真のとおりです。合格発表からしばらく経って、内閣府からの合格証書が自宅に送られてきました。
正しいやり方で勉強すれば公認会計士試験に短期合格できる
どんなに絶望的な状況にあっても、諦めずに頑張れば努力は報われるし、難関といわれる公認会計士試験にだって合格できます。
と、公認会計士になった今だから言えるわけですが、私も受験生だったときは勉強中もずっと不安でした。
特に、私はバイトやサークルなどでまともに勉強ができない時期が長かったため、他の受験生に比べても不利な状況でした。
「自分なんかが合格できるのかな」
「勉強が全然前に進まない」
「いつまで経っても同じ問題で同じような間違いしてんな」
みたいなことを、頻繁に考えていましたからね。
私は実際に公認会計士になってみて、自分が本当にやりたいことややれることが見えてくるようになりました。
色んなことに挑戦し続けていきたいし、実際挑戦しているし、同じように色んなことに挑戦できる公認会計士が増えたら、もっと世の中も楽しくなると思っています。
とはいえ、公認会計士試験は合格率10%の難関試験です。確率的に、10人に一人しか合格できない試験です。
1クラスに30人いるとしたら、そのうちの3人しか受からないわけですね。ですので、何も考えずに愚直に勉強していても、短期合格は難しいです。
金融庁が取ったアンケートによると、75%以上の公認会計士が合格までに3年以上かかっているとのことです。
私も周りの受験生がやっているのと同じような勉強をやってたら、在学中に一発合格はできなかったですし、20代で独立できませんでした。
あなたにも、公認会計士の試験勉強だけにあまり長い時間をかけてほしくありません。
合格はあくまでもスタートラインなわけで、あなたが実際に公認会計士になってからどうしていくかが大事だからです。
かつての私がそうだったように、効率的な勉強法が実践できれば、試験に短期合格するのも夢ではありません。
5月短答合格から、そのまま8月論文に一発合格だってできます。
なるべく早く合格するためにも、正しい勉強のやり方を知っておきましょう。ぜひ、本サイトの記事をご覧ください!