こんにちは、現役公認会計士の植村拓真(うえむら たくま)です。
公認会計士を目指しているあなたなら、監査法人の年収や給与、初任給がどのくらいなのか興味はありませんか?
正直な話、私が大学生の頃に公認会計士を目指したのも、稼げそうだ!と考えたのが大きな理由の一つです。
実際に、私は大学生時代、OBで公認会計士の方とお話しさせていただく機会があって、中小監査法人のパートナーである彼は、ものすごく堂々とした方で余裕もあり、恰幅も良くてかなり稼いでいそうな雰囲気でした。
その方とお話しできたことが、私が公認会計士を目指す大きなきっかけの一つとなりました。実際に公認会計士の方と話すのは、とても刺激になりますからね。
その後、私は無事に大学在学中に一発合格できたのですが、試験勉強中にモチベーションを保つための一つの方法として、勉強の合間をぬってネットやTwitterなどで「監査法人 年収」のキーワードを調べ漁っていました。
ただ、実際に監査法人の年収を調べてみても、全国すべての公認会計士の平均年収とかが出てきたりして、ざっくりとした情報ばかりでした。
受験生だった私は「実際監査法人の年収は一体どれくらいもらえるのか」と疑問に思ったものです。
そこで、受験生時代から時が経ち、大手監査法人での勤務を経て、現在は独立している現役公認会計士である私が、監査法人の年収について暴露しようと思います。
大手監査法人で実際に働いていた人間の情報ですので、監査法人の年収に興味がある方にとってかなり参考になる情報を公開しますね。
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監査法人の年収は普通の会社で働くより高い
まず、結論からお話しします。
監査法人の年収は普通の会社で働くよりもかなり高いです。監査法人で順調に出世できれば、年収1,000万円を超えられます。事業部の長やグループの長になれば、年収2,000万円超も見えてきます。
また、後ほど詳しくお話ししますが、非常勤(パート)を選ぶと日給で4万~5万円近く貰えます。
なお、あずさ監査法人や監査法人トーマツ、新日本監査法人のような大手監査法人間の年収に、それほど大差はありません。
中小監査法人は大手監査法人よりも給与が少なくなる傾向にありますが、それでも微々たる差です。男性と女性の間に給与の差もありません。
監査法人では大体、以下のように職階が分かれています。下に行くほど高い地位になり、仕事の責任や難易度が高くなります。そして、その分年収も高くなります。
(※カッコ書きは勤続年数の目安です)
スタッフ(新人~4年目)
↓
シニアスタッフ(5~8年目)
↓
マネージャー(9~14年目)
↓
パートナー(15年目~)
職階ごとに年収も大きく異なるので、次からは職階ごとに詳しく見ていきましょう。
監査法人の年収:初任給とスタッフ
公認会計士試験に無事合格して監査法人に就職すると、最初の数年間はスタッフとして勤務します。監査法人にもよりますが、スタッフのときの初任給及び基本給は30万円前後です。
スタッフの年収は30万前後の基本給に、残業代・出張手当とボーナスが加わり、500万~600万円程度の水準になります。
ただ、人によって出張の量や残業の量も変わってくるので、同期の間でも結構年収は異なります。かなり残業している同期で、1年目から年収で800万ほど貰っていたという方の噂もありました。
真偽のほどは不明ですが、実際にかなり働きづめでしたので事実でしょう。
このスタッフの基本給ですが、年齢などは一切考慮されず、監査法人に新卒で入ろうが、職歴ありの30代で入ろうが、すべて同じ30万円前後です。監査法人では、年齢よりも年次(いつ監査法人に入ったか)が評価されるからです。
そう考えると、早く公認会計士試験に受かって、早く監査法人に入った方が給与面で有利と言えますね。
私は新卒で大手監査法人に入りましたが、年収は周りの同年代の友人と比べてかなり貰っていました。周りの友人は大体300万~400万円程度で、有名な大手企業勤めの友人でさえ年収は450万円程度と言っていましたから。もちろんこれは、残業代込みの数値です。
というわけで、監査法人に入社してスタッフで働き始めると、学生や受験生の頃では考えられなかったような贅沢ができるようになります。
たとえば、8万円するブランドの財布を当たり前のように購入している同期がいましたし、6月の閑散期のとき、1週間ほどハワイに旅行をしていた同期もいました。かくいう私も、当時付き合っていた彼女と1週間くらい、シンガポールに旅行をしていました。
つまり、上記のような贅沢は余裕でできるようになります。特に、監査法人の方は海外旅行をするのが好きなので、4月などの繁忙期が明けたあとで、リフレッシュ気分で長期間海外旅行をするケースが多いです。
上記のとおり、イチ社会人としては十分すぎるくらいの経済力が手に入ります。
監査法人の年収:シニアスタッフ
続いては、シニアスタッフの年収についてお話しします。
シニアスタッフの基本給は、スタッフより10万~15万円ほどアップの40万~50万円程度です。基本給の増加に伴ってボーナスも増えます。また、スタッフより大幅に業務量も増えるため、残業時間も増えます。
残業代などの手当てもすべて考慮すると、年収は700万~800万円程度です。残業が多くて年収が1,000万円近くになったと言う先輩もいました。
これほどの経済力があれば、一通りの贅沢はもちろん、結婚して家庭を持ち始める人も多いです。
シニアスタッフは、修了考査を終えて晴れて公認会計士登録できる頃に昇格する職階で、監査現場の責任者(主査またはインチャージ)を任されるようにもなり、仕事をしていて一番楽しい時期です。
ちなみに、シニアスタッフになると後輩の数も増えるので、後輩に奢る頻度が多くなります。私もスタッフだったとき、前にシニアスタッフの先輩から高級焼肉店へ連れて行っていただきましたが、先輩が5万円ほど支払ってくださっていました。
先輩かっこよすぎますし、感謝しかありません。
監査法人の年収:マネージャー
次に、マネージャーの年収についてお話しします。
マネージャーになると、年収は800万~1,000万円程度になります。年代も30代前半~40代前半の方が多く、家庭を持っている方も多いです。
ただ、管理職という扱いになり残業代がつきません。年棒制になるのです。監査法人で働く職員は残業も多いため、残業代も給与の中で少なくないウエイトを占めています。
しかし、マネージャーには残業代が出ない制度となっているのです。にもかかわらず、マネージャーはすべての職階の中で、一番残業しています。加えて、人によっては休日出勤も多いです。
これは、マネージャーになると責任が大きくなるのに加えて、事務所内の管理業務といった仕事が増えるのも原因です。もしかしたら、監査法人内で割を食っている職階がマネージャーかもしれません。
下手をすると、残業が多いシニアにも年収で負けていますしね。責任が重く誰よりも働いているはずなのに、背負ったものに見合った年収が貰えていないかもしれません。
まあ、それでも「十分すぎるくらい貰えている」と思う方も多いでしょう。少し割を食っていたとしても、パートナーになるまでの辛抱です。
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監査法人の年収:パートナー
最後に、パートナーの年収についてお話しします。
パートナーまで昇格できれば、アガリと言える状態かなと思います。監査法人内では社員扱いで、経営者の一角を担います。一般企業でいう、部長または役員クラスの職階ですね。
パートナーの年収は、1,500万~2,500万円程度です。貰っている人は、もっと貰っているかもしれません。監査法人のトップ、理事長にもなれば、それこそ大企業の社長と遜色ないくらいの年収になっているでしょう。
パートナーになりたての人の年収が1,500万円程度らしく、そこから年数によって給与も上がっていき、たとえば事業部の長やグループの長になれば年収は2,000万円を超えるとのことです。
あるパートナーと飲み会で一緒になったとき、1ヶ月のクレジットカードの請求額が100万円前後だったと話していました。だいたい飲み会などの交際費に消えていたそうです。
つまり、それくらいは余裕で支払える経済力があるということですね。
以上、職階別の監査法人の年収でした!
監査法人の年収番外編:非常勤(パート)が貰える給与
ちなみに、監査法人では非常勤職員(パートタイム、アルバイト)としても働けます。
週に5日丸々働くわけではないですが、たとえば決算期の4月や5月などの繁忙期に月10日ほど集中して働くとか、暇な時期は月に3~4日だけ働くみたいな働き方のことです。
この非常勤、めちゃくちゃ割の良い仕事です笑
時給報酬がなんと5,000~7,000円ほどの条件で働けるので、日給は4万~5万円です。つまり、月8日(週2日)働くだけで30万円近くの給与が貰えます。
もちろん、正社員ではないため、1ヶ月に決まった日数を入れてもらえるとは限りませんし、賞与が出ずに収入は不安定ですが、稼ぎ方としてはかなり効率が良いです。
大学3年生のときに合格した方で、卒業まで時間のある人や独立したてでまだ収入が安定していない人などが、監査法人の非常勤として働きます。
実際私も、学生のときや監査法人を退職して独立したばかりのときは、非常勤として働いていた時期があります。
学生非常勤のときは当然、監査経験がないので通常の非常勤よりも時給単価は下がりますが、それでも時給2,500円(1日で2万円弱)という、学生にしてはあり得ないほどの給料をいただいていました。
私はそこで稼いだお金で、卒業までの時間を使って、海外留学してたこともあります。あのときは中々に恵まれた環境でした。在学中に早く合格できれば同じことができます。個人的に、非常勤はかなりおすすめです。
監査法人の年収まとめ
いかがだったでしょうか。最後に、監査法人の職階別の年収についてまとめておきましょう。
職階 | 年収 |
スタッフの年収 | 500万~600万円 |
シニアスタッフの年収 | 700万~800万円 |
マネージャーの年収 | 800万~1,000万円 |
パートナーの年収 | 1,500万~2,500万円 (※人によってはもっと高い) |
非常勤の給与 | 時給5,000~7,000円 日給4万~5万円 |
上記の年収が最難関と言われる公認会計士試験の勉強に見合ったものと思うかどうかは、あなた次第です。
ただ、少なくとも普通の会社の年収と比較しても、かなり高水準の年収であるのは間違いないでしょう。そして、もちろんこれは監査法人での年収に過ぎません。
公認会計士のキャリアは監査法人だけでなく、他の一般事業会社やコンサルティング会社、会計事務所などに転職したり、独立したりなど、さまざまな業界があります。
ちなみに、年収は独立して成功すれば青天井に増やせます。あなたが選んだキャリアによって、得られる年収も変わります。
ですので、本記事はあくまで参考程度に留めておいて、あなたが将来どういう仕事がしたいのか、自分はどれだけの収入を求めているかを最優先に置いて、職業的専門家として理想のキャリアを描いていきましょう。