こんにちは、現役公認会計士の植村拓真(うえむら たくま)です。
今回は、監査論(論文)の勉強法についてお話しします。
監査論は、本試験ではすべて論述の問題が出題され、理論中心の問題が1問、実務中心の問題が1問出題されます。
理論中心の問題は素直に、勉強したとおりのことが書ければ十分です。勉強した通りのことだけ書けばよいので、簡単です。ただ簡単な分、他の受験生もきちんと解答してきますので、ここを落とすとまずいです。
早いうちに、安定的に得点できるようになっておきましょう。
一方、実務中心の問題は勉強したことを踏まえて「普通に考えると、こうじゃないかな?」的な解答が書ければそれで十分です。
実務のことなんて、監査補助の経験がなければ大半の受験生が理解していません。
実務に就いた経験がないから当然なのですが、理解していない以上、実務を知らない以上、想像で書くしか選択肢がないのです。
ですので、本番で全く分からないような問題が出ても焦らないでください。
あなたが本番で全く分からない問題が出たとしたら、他の受験生も間違いなく全くわかっていないです。みんな状況は一緒です。
とはいえ、白紙の解答で出すわけにはいかないので、みなさん持ち前の想像力を駆使して、好き勝手にめちゃくちゃな理論を書いて、言うなればそれぞれ独自の作文を提出するわけです。
実務を知らなければ仕方がないことですからね。
あなたも、全くわからないからといって、白紙の解答を提出するのだけは避けてくださいね。
全く分からないような問題が出題されたら、うまく部分点を取りにいくようにしましょう。
うまく部分点をもぎ取るテクニックとしては、その問題に関連しそうな論点で暗記した「定義」「キーワード」をうまく解答文に盛り込んでいくのです。
特に、専門用語を解答欄になるべくたくさん書くことができれば、試験委員の心証は良いです。
必死に暗記したことを無駄にしないためにも、暗記したことは可能な限り解答欄に吐き出すようにしましょう。
その場で思いついた適当な我流の監査理論とか解答欄に書くのはNGです。
「ひらめいた!」とか思っても書かないでください。絶対に間違っています。
そんなことを書くよりも、きちんと勉強したことをそのまま吐き出して解答欄を埋めるほうが、絶対に得点は高くなりますからね。
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監査論の勉強における留意点
監査論(論文)の勉強法については、いつもの「論文式試験の勉強の本質」に気をつけておけば大丈夫です。
- 覚える箇所のターゲッティング
- ターゲッティングした箇所の効率的な暗記
この2点のことですね。
監査論にいたっては、覚える箇所のターゲッティングがちょっと厄介です。
予備校ではロクに監査論の論文用問題集が配られないこともあり、ターゲッティングが難しいんですね。
上記の2つをフル活用して、効果的なターゲッティング、効率的な暗記に励むようにしましょう。
過去問の分析で得た結果や答練で出題された論点を中心にターゲッティングを定めて、根気よく「定義」「キーワード」を覚えて行けばよいです。
私個人としては、これらのターゲッティングに加えて、予備校の講師が監査論の論点を簡潔にまとめたレジュメを作成していたので、そのレジュメに載っていることを基準としてターゲッティングを定めていましたね。
あなたの予備校でも、簡潔にまとめられたレジュメがあれば、それ参考にターゲッティングに定めてみると良いかもしれません。
他の留意点としては、試験本番に配られる基準集からどれだけヒントを引き出せるようにできるか、ということでしょうか。
ただこれは、普段の答練や、全国模試を解くときに訓練していればそれで十分です。基準集の引き方に、わざわざ時間を割く必要はないでしょう。
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試験本番での注意点
試験本番の注意点としては、試験時間に対して書く量がとにかく多いことです。
試験時間丸々使って書き続けて、やっと解答欄のすべてを埋めることができるくらいの分量です。それくらい多い。
だから、書き始めるまでに悩みすぎるのは禁物です。書くまでに5分以上悩んでしまったら、赤信号です。
何でも良いので、日本語も多少崩壊してしまっても良いですから、とにかく書き始めましょう。
企業法とは違って、その問題で重要となる「キーワード」を書けてさえいれば部分点がきますので、答案の構成はそこまで重要視しなくて良いです。うまく書ける必要はありません。
もちろん構成を意識できるなら意識したほうが良いのですが、それよりも解答欄を埋めることのほうが重要です。
答案は採点者に伝わる程度で書くことができれば十分です。
一旦答案を書き始められれば、あとは勝手に手が動いてくれるようになります。監査論の答案は、答案を書きながら、次に書いていくことを考えているくらいのペースで普通くらいです。
試験本番で注意すべきことは、解答欄を間違えることです。
勉強期間中にも、解答を書く欄を間違えて落ちた先輩の話を聞いていたものですから、私も本番前は
「それだけは絶対にないように気をつけよう!」
と心がけていたつもりだったんです。
しかし、私も監査論の本番でやらかしました。
「問題1」の解答を「問題2」の解答欄に書いていたのです。
幸い、気付くのが早かったのですぐに修正テープを引いて事なきを得たのですが…。
論文式試験一発目の科目だったので、もしかしたら緊張してミスしたのかもしれないですね。自覚はなかったんですが。
ただ、こういう場合にしてはいけないのが焦ることです。
本番でも絶対こういうミスは、一回は起こりますから。ミスが起こってしまったらやるべきことは焦ることではなく、冷静に対処すること。
私も、一発目の試験科目でこういうミスをやらかしてしまったにもかかわらず、無事合格できたのはこういうミスを焦らずに冷静に対処できたからです。
「やってしまってたか~、修正テープ引いて書き直すのめんどうだな」
くらいのテンションで、淡々と対応すればいいんです。
焦って良いことなんて一つもありません。ドンと構えていきましょう。
でも、あなたが受験するときは、そもそもこういう問題が起こらないように気をつけてください。
問題は解決するよりも、そもそも問題を発生させないようにする方がエネルギーがかかりませんから。
解答欄の場所を注意すること!
当然のことのようですが意外と失敗してしまう人が多いようですので、一応、留意が必要ですね。
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そうそう、それ以外の留意点として、短答の勉強の時には読み込むことを推奨した委員会報告書ですが、論文では事前に読み込んでおく必要はありません。
そもそも、試験本番で配られるので。
また、以下の記事で論文式試験に短期合格する勉強法を科目別にまとめていますので、こちらもご覧ください。