こんにちは、渋谷駅近の会計事務所で所長を務めている植村拓真です。
本記事を読んでいるのは、未経験で会計事務所で働きたいけど仕事内容が気になっている
- 税理士試験の科目合格者
- 日商簿記の資格取得者
上記のような方ではないでしょうか。
今回はそんな方に向けて、会計事務所の所長が仕事内容について未経験でも続くコツとあわせて解説します。
また、未経験者の体験談として、弊所に未経験で入所したスタッフYさんへのインタビューも掲載(※随時追記します)しておきます。
未経験で会計事務所で働くかどうかを判断するうえで、参考にしてみてください。
税務会計スタッフ
(20代前半・東京都在住)就職時は会計業界が未経験で、税理士試験は一科目に合格
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会計事務所の仕事内容がきつい主な原因と対策
会計事務所の仕事内容を紹介する前に、きついと言われている主な原因と対策について解説しておきます。
きついと言われている原因を知らずに記事を読み進めてしまうと、
- 本当は向いているのにきついと誤解して就職を諦めてしまう
- 就職を後悔して辞めてしまう
- 転職活動に時間を取られて勉強が進まなくなる
上記のような事態に陥ってしまいます。
ですので、会計事務所への就職を検討している方は、まず本項目から読み進めて対策しておきましょう。
①サポートのない会計事務所に就職している
会計事務所の仕事内容がきついと言われる主な原因は、未経験者をサポートする環境が整っていない会計事務所に就職している点にあります。
会計事務所の業務では、書類を読んだり作成したりするために税に関する専門知識が必要ですし、会計ソフトを使いこなせる必要もあります。
いずれも実際に働かなければ身につかないスキルです。
そのため、未経験者がサポートのない会計事務所に就職してしまうと、初日から仕事内容がきついと感じてしまいます。
ですので、未経験で会計事務所に就職したい方は、未経験者をサポートする環境が整っている会計事務所を探しましょう。
求人を探す際に注目するポイントは、以下のとおりです。
- 研修動画やマニュアルの配布があるか
- 所長やスタッフによる直接指導があるか
- 段階的に業務を任せてもらえるか
特に、段階的に業務を任せてもらえる会計事務所であれば、未経験者でも徐々に業務に慣れられるので、仕事内容がきついと感じづらいです。
未経験者であれば最初は誰でも仕事が難しいと感じるものなので、少しでもハードルを下げてくれる会計事務所に就職しましょう。
②繁忙期の業務量を把握していない
後ほど会計事務所の年間スケジュールについて解説する際にも触れますが、会計事務所には繁忙期があります。
閑散期に比べると業務量が多くて残業や休日出勤する機会が増えるため、繁忙期について知らない方は仕事内容がきついと感じるでしょう。
会計事務所の繁忙期は、主に12月から翌年5月までの期間を指します。
12月は年末調整、翌年2~3月は確定申告、3月決算の会社がクライアントに多い会計事務所であれば5月に業務量が増加します。
繁忙期の業務量は会計事務所によって異なるので、求人応募後の面談で前回の繁忙期の業務量について質問しておきましょう。
ちなみに、未経験で会計事務所に就職する場合は、5~6月に求人に応募するのがおすすめです。
閑散期に入ってすぐの5~6月に求人に応募する理由は、以下のとおりです。
- 繁忙期までに業務に慣れる必要がある
- 試験が終了してすぐの8~9月は求人応募が多い(就活のライバルが多い)
10月は会計事務所の採用活動が落ち着くので就職時期としておすすめされやすいですが、繁忙期直前なのでおすすめできません。
③ブラックな会計事務所に就職している
そもそも就職先がブラックな会計事務所である場合、仕事内容がきついと感じて当たり前です。
ブラックな会計事務所では繁忙期の過剰なみなし残業や休日出勤は当たり前ですし、酷いケースだと上司からのパワハラもあります。
ブラックな会計事務所の例として、所長が事務所のキャパを無視して、片っ端から依頼を受けてスタッフに過剰な残業させているケースがあります。
すでに会計事務所で働いている方であれば
数をこなさないと稼げないから、薄利多売をしてスタッフに負担をかけている
上記のように考えて転職を検討できるかもしれません。
しかし、未経験の方はどんな会計事務所がブラックなのかを知らないため、本来はきつい仕事内容なのですが
などと錯覚してしまうケースもあります。
上記のようなケースは当たり前ではありませんので、万が一ブラックな会計事務所に入所してしまった場合は、速やかに転職を検討しましょう。
ブラックな会計事務所を回避するコツですが、求人票や面談で以下の点を確認しましょう。
- 年間の残業時間や休日出勤について質問する
- 税理士試験の前に有給の試験休暇を取得できるかを確認する
年間の残業時間や休日出勤について求人票で確認したうえで、面談時に具体的な数字を教えてもらいましょう。
また、税理士試験の前に有給の試験休暇を取得できるかも確認しておきましょう。
税理士試験のための有給を取得できる会計事務所は、スタッフを大切にしている事務所であるといえます。
ブラックな会計事務所を回避するコツについては、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
未経験者の方は会計事務所を選ぶうえで参考にして、なるべくホワイトな事務所に就職しましょう。
会計事務所の主な仕事内容
それでは、会計事務所の主な仕事内容を紹介します。
就職する前に、実際に会計事務所ではどんな業務が行われているかを確認しておきましょう。
本項目で紹介する仕事内容は以下のとおりです。
- 記帳代行
- 税務申告
- 巡回監査
- 給与計算・年末調整
記帳代行
記帳代行は会計事務所のメイン業務で、クライアントの代わりに会計帳簿を作成します。
クライアントに請求書や領収書、通帳などを提出してもらい、勘定科目や取引内容などを会計ソフトに記録して会計帳簿を完成させます。
業務を行うためには日商簿記3級程度の知識が必要になるため、会計事務所の求人では応募条件に日商簿記3級以上を設定しているケースが多いです。
会計事務所への就職を検討している方は、日商簿記3級以上を取得しておきましょう。
ちなみに、記帳代行は複雑な業務ではありませんが、取引量が多いクライアントを担当すると正確性に加えて処理速度を求められます。
似たような作業を正確かつ素早くこなせる方であれば、会計事務所に向いています。
給与計算・年末調整
給与計算や年末調整は、記帳代行とセットで提供されるケースが多い業務です。
クライアントの企業に勤める従業員の給与明細や源泉徴収票を作成します。
給与計算や年末調整の業務を担当すれば、所得税や住民税、社会保険や源泉所得税に関する知識を身につけられます。
税務申告
税務申告とは、個人や法人が事業年度内に納めるべき税金を計算して申告することです。
会計事務所で行う税務申告は、上記の作業を代行する業務を指しています。
税務申告の代行業では、クライアントが事業年度内に所得税や法人税、消費税や住民税などをいくら納税するのかを計算して申告します。
本業務は税理士の独占業務であるため、申告書の代理人には税理士の氏名を記載しますし、税務調査の立会いや税務署への不服申し立てなどもすべて税理士しか行えません。
巡回監査
巡回監査とは、クライアントを訪問して
- 会計処理の確認
- 会計処理に関する指導
- 経理担当への指導
- クライアントとのコミュニケーション
上記を行う業務のことです。
毎月実施する監査を月次巡回監査、期末決算時に実施する監査を決算巡回監査と呼びます。
巡回監査は記帳代行とは異なり、会計事務所が会計処理を行うのではなく、クライアントが正しく会計処理を行なえているのかをチェックします。
そして、クライアントから税務相談を受けるため、主に税理士が担当する業務です。
税理士資格を取得していないスタッフが担当する場合は、税理士の補助を行います。
会計事務所のその他業務
続いて、会計事務所のその他業務を紹介します。
会計事務所の中には先ほど紹介した業務以外に、経営コンサルティングや相続税に関する業務を請け負う事務所もあります。
簡単に紹介していきますので、就職前に確認しておきましょう。
経営コンサルティング
最近では、税理士が税務や会計に関する知識を用いて、経営コンサルティングを行う会計事務所が増加しています。
会計事務所に所属している公認会計士や税理士の専門分野によって、企業再生支援や国際税務、M&Aなど、提供しているコンサルティングの種類が異なります。
経営コンサルティングの業務を行うには高度な専門知識が必要になるため、公認会計士や税理士の資格を有していないスタッフが担当する機会はほぼありません。
相続税に関する業務
高齢化が進んでいる影響で、相続税に特化した会計事務所が増加しています。会計事務所の相続税に関する業務は、生前対策と相続発生後の業務に分類されます。
会計事務所で行う相続税に関する業務は、以下のとおりです。
【生前対策】
- 相続税の算出
- 不動産や動産の財産評価
- 遺産分割に関するアドバイス
- 遺言書作成に関するアドバイス
- 二次相続に関するアドバイス
【相続発生後の業務】
- 財産目録の作成
- 遺産分割協議書の作成
- 相続税申告書の作成と提出
- 相続税の納税
中には弁護士や司法書士、行政書士といった他の士業が対応する業務もありますが、主に税理士が対応します。
相続税に関する業務に携わりたい方は、相続税に強い会計事務所の求人を探しましょう。
会計事務所の年間スケジュール
会計事務所の年間スケジュールは以下のとおりです。
今回は、日本に多い3月、12月決算の法人がクライアントにいると想定して紹介します。
個人事業主 | 法人 | |
1月 | 源泉所得税や住民税特別徴収税額の申告と納付 法定調書の作成と提出 固定資産税の償却資産申告書の提出 12月決算の業務 |
|
2月 | 所得税の申告 消費税や地方消費税の申告 贈与税の申告 |
12月決算期限 |
3月 | 所得税の申告 消費税や地方消費税の申告 贈与税の申告 |
|
4月 | 3月決算の業務 | |
5月 | 3月決算期限 | |
6月 | ||
7月 | ||
8月 | 事業税の納付(第1期分) | |
9月 | ||
10月 | ||
11月 | 3月決算法人の中間申告 | |
12月 | 年末調整や源泉徴収票の交付 |
クライアントに個人事業主を多く抱えている会計事務所の繁忙期は、年末調整や確定申告に関する業務が集中する12月~翌年3月の期間です。
そして、クライアントに3月や12月決算の法人が多い場合、3~5月と12~翌年2月に決算申告の業務が集中するため繁忙期を迎えます。
そのため、個人事業主と法人のクライアントを抱えている会計事務所では、12~翌年5月の期間が繁忙期となります。
6~11月は閑散期で、記帳代行や巡回監査、税務相談などの普段の業務だけなので、繁忙期ほど忙しくはありません。
会計事務所の給与相場と待遇
本項目では、会計事務所の給与相場と待遇について解説します。
会計税務スタッフに焦点を当てて紹介するので、求人を探す前に確認しておきましょう。
給与相場
会計事務所での会計税務スタッフの給与を決める主な要素は、以下のとおりです。
- 実務経験の年数
- 事務所の規模
- 科目合格数
- 保有資格
- 地域
上記の要素次第で金額は前後しますが、小規模な会計事務所であれば年収200万~400万円、税理士法人なら年収300万~600万円程度が目安です。
未経験の方でも税理士試験の科目合格数が多かったり日商簿記を取得していたりすると、年収に反映してもらえる事務所があります。
会計事務所を選ぶ際は実務経験だけでなく、科目合格数や保有資格も考慮して年収に反映してくれる事務所を選びましょう。
待遇
会計事務所では一般的な企業とは異なり、税理士資格の取得支援を福利厚生として用意しているケースがあります。
税理士資格の取得支援は事務所によって内容が異なりますが、主に有給の試験休暇や資格取得費用の補助が用意されています。
会計事務所は、働きながら税理士を目指しやすい職場です。
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会計事務所への就職・転職を成功させるコツ
会計事務所への就職・転職を成功させるコツについて解説します。
冒頭で触れたブラックな会計事務所を避けるコツにプラスして本項目の内容を押さえておけば、未経験者でも働きやすい事務所に就職できます。
少しでも早く会計事務所に就職して、税理士試験の勉強に集中しましょう。
資格取得支援に注目して応募する
繰り返しになりますが、働きながら税理士資格の取得を目指している方は、資格取得支援を行なっている会計事務所に就職しましょう。
すべての会計事務所が資格取得支援を行なっているわけではないので、必ず求人やホームページを確認しておいてください。
以下の記事で、科目合格者向けに就職・転職先の選び方、採用されるコツについて解説しています。
就職・転職の成功率を上げたい科目合格者の方は、あわせてご覧ください。
資格や合格科目を増やす
会計事務所では、資格保有者や科目合格数が多い方は即戦力扱いされるので採用されやすいです。
たとえば、日商簿記の資格取得者は記帳代行の業務に必要な知識が備わっているので、会計事務所では即戦力といえます。
そして、合格している科目にもよりますが、科目合格者も合格数が多いほど会計事務所の業務で活かせる知識を有しているので、即戦力扱いで採用されやすいです。
実務経験がなくても採用されやすくなるので、資格を取得したり科目合格数を増やしたりしておきましょう。
科目合格者が未経験でも採用されやすい理由については、以下の記事でより詳しく解説しています。
科目ごとの市場価値についても解説していますので、ぜひご覧ください。
会計事務所への就職でよくある質問
最後に、会計事務所への就職でよくある質問を簡単に紹介します。
- 会計事務所・税理士事務所・税理士法人の違いは?
- 会計事務所に向いているのはどんな人?
- 会計事務所で働くメリットは?
- 税理士補助とは?何をするの?
- 会計事務所ではどんな人が働いているの?
会計事務所への就職活動を進めるうえで、参考にしてみてください。
会計事務所・税理士事務所・税理士法人の違いは?
会計事務所と税理士事務所は呼び方は違いますが、どちらも同じ個人事業主で業務内容などに違いはありません。
税理士法人は名前のとおり法人で、会計事務所や税理士事務所とは違い税理士が2人以上所属している必要があります。
会計事務所に向いているのはどんな人?
会計事務所に向いているのは以下のような方です。
- 責任感があり几帳面
- 同じ業務が続いても苦にならない
- コミュニケーション能力が高い
- なんでもコツコツ調べて勉強できる根気強さ
会計事務所の業務では多くの書類や数字を扱うため、大雑把な性格の方はミスしやすいですし、小さなミスでもクライアントに大きな損害を与えかねません。
ですので、同じ業務が続いても責任感を持って几帳面に仕事をこなせる方が、会計事務所に向いているといえます。
コミュニケーション能力はクライアントとの関係を良好に保つためや、業務を円滑に進めるために必要です。
「会計事務所の仕事は黙々と仕事をしたい人におすすめ」といった意見も見かけますが、サービス業ですし上司や同僚ともコミュニケーショ
ンを取りながら仕事を進めるケースが多いので、コミュニケーション能力は必要です。
また、会計事務所の仕事は専門性が高いため、働いているうちに何度も知らないことに出会います。
そのため、コツコツ調べて勉強できる根気強さも必要です。
会計事務所で税理士補助として働きたい方は、以下の記事も就活を進めるうえで参考にしてみてください。
会計事務所で働くメリットは?
会計事務所で働く大きなメリットは、税理士を目指すうえで最適な職場環境である点にあります。
繰り返しになりますが、会計事務所では税理士資格の取得支援を行なっているケースがありますし、税理士登録の実務要件を満たせるケースもあるからです。
税理士資格の取得支援がある会計事務所は、一般的な企業よりも税理士試験の受験に理解があるので、予備校や試験などに合わせて勤務時間や休日を調整しやすいです。
そして、資格取得支援として試験の受験料を負担してくれたり、科目合格数に合わせて給与をアップしてくれたりする事務所もあります。
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