こんにちは、現役公認会計士の植村拓真(うえむら たくま)です。
上記のような疑問をお持ちのあなたに、公認会計士試験に合格するまでに必要な勉強時間について、実際に大学在学中に一発合格した私の体験談も交えながらお話しします。
本記事を読めば、勉強を始めてから何年ぐらいで試験に合格できるのか、1日にどれぐらい勉強時間を確保すればいいのか、そして各試験科目にどれぐらいの勉強時間をかければいいのか、大まかにイメージできるようになります。
それでは、さっそく見ていきましょう。
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公認会計士試験の合格に必要な勉強時間:年数
まずは、公認会計士試験の合格までに、実際にどれくらいの年数がかかるのかについてお話しします。
正直な話をすると、毎日10時間以上の勉強をぶっ通しで続けられれば、1年で公認会計士試験に合格できます。
私自身、大学3年生のときに公認会計士試験に一発合格しましたが、当時を振り返ってみたところ、長く見積もっても勉強だけに集中していた期間は1年程度でした。
勉強始めたばかりの頃は、バイトやサークルなどに取り組んでおり、あまり勉強していなかった時期もありました。そのことも踏まえたら、巷で言われているよりも、はるかに短い勉強時間で合格できたと思います。
しかしながら、受かるかどうか結構ギリギリのラインを攻めてしまっただけなので、あなたには勉強期間の目標を1年に設定するのはあまりオススメしません。
一方、金融庁が実施したアンケートによれば、試験合格者が勉強にかけた時間の平均は3年程度らしいです。個人的にはちょっと時間がかかり過ぎかなと思いますね。
大手予備校の公認会計士試験講座を見たところ、やはり1.5~2年程度で合格を目指している講座が多いですし、公認会計士試験全体の学習量から考えてみても、3年はかからないでしょう。
以上を踏まえて、余裕を見て通常2年程度の時間はかかると考えておけば良いでしょう。2年の勉強期間で一発合格できれば、すべての受験生の中でもかなり優秀と言える部類です。
というわけで、まずはこのレベルを目指しましょう。
公認会計士試験の合格に必要な勉強時間:時間
次に、公認会計士試験に合格するまでに必要な勉強時間についてお話しします。
必要な勉強時間について、世間的に多く言われているのが3,000時間という目安です。ただ、あとで詳しく話しますが、私自身はこれよりもう少し短い時間で合格できました。
また、合格までに必要な勉強時間については、人によって結構変わります。
たとえば、ものすごく理解の早い人だとか、書くのが早い人、計算が得意な人などは、3,000時間よりももっと早く合格レベルに達するでしょう。
反対に、学習した内容をじっくり理解したい人、細かい規定や制度までしっかりと押さえたい人なんかは、もう少し時間がかかるかもしれません。
あと、試験に一度落ちてしまった人はもう1年追加で勉強時間が必要なので、勉強時間が長くなります。とはいえ、どれだけ長くかかったとしても、4,000時間くらいあれば合格レベルには達するでしょう。
公認会計士試験で多くの勉強時間が必要な理由
先程、3,000時間という一つの指標を挙げましたが、これを見て「こんなに勉強しないといけないの?」と思った方がいるかもしれません。
公認会計士試験は世間的には最難関だと言われているくらいですし、最低限、これくらいの勉強時間は必要でしょう。一応、三大国家資格とも言われていますからね。
プロフェッショナルになるためには、乗り越えていかなければならない壁だと考えていただければと思います。ではなぜ、これだけ多くの勉強時間が必要になるのでしょうか。これは次の2つの理由があります。
- 学習範囲が広い
- 学習内容が専門的
順番に見ていきましょう。
学習範囲が広い
プロフェッショナルは、ある特定の分野についてものすごく詳しい人を指す言葉です。そして公認会計士は、会計・監査のプロフェッショナルになるわけで、クライアントのニーズに応えるためにも、当然幅広い知識を備えておかなければなりません。
クライアントから何か質問があった場合、素早く回答できる必要があります。何も物事を知らないような人が「私はプロフェッショナルだ!」とか言ってても「大丈夫かよ」といった状態になりますからね。
公認会計士は、大前提として我が国の会計基準に詳しくないといけないのですが、その他にも
- 原価計算基準
- 会社法
- 商法
- 監査基準
- 法人税法
- 所得税法
- 消費税法
果ては経営に関する理論についても、幅広く身に付けておかなければいけません。
そして、受験生のうちからさまざまな制度や内容、趣旨などを満遍なく理解しておく必要があるので、どうしても学習時間が長くなってしまうのです。
学習内容が専門的
また、先程お話ししたとおり、公認会計士はプロフェッショナルなので、公認会計士試験の勉強で扱う学習内容もかなり専門的です。
たとえば、公認会計士試験の試験科目の一つである財務会計論では、主に会社の決算書の作り方を学びます。決算書の数値を計算していくうえで、
- どうしてそういう会計処理が必要になるのか
- その会計処理が定められた背景は何か
- どうすれば企業活動の実態を決算書に表現できるのか
といったような内容まで事前に深く理解しておかなければなりません。そして、その過程でたくさんの専門用語や専門的な処理を覚えていかなければならないのです。
上記のように、公認会計士試験の勉強で学習する内容も専門的で難しいので、内容を理解するだけでも時間がかかってしまうわけです。
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公認会計士試験の合格に必要な勉強時間:1日あたり
さて、ここまで公認会計士試験の合格までに必要な年数やトータルの勉強時間について、大まかな話をしました。今度は1日あたりに必要な勉強時間についてお話しします。
先ほどと同様、あくまでも目安の話になりますが、トータルで必要になる勉強時間が3,000時間なので、これを2年間の日数、つまり730日で割ると1日あたりの勉強時間が算出できます。
3,000時間 ÷ 730日 ≒ 4.1時間
・・・思ったより少ない時間ですよね。私自身、算出してみてビックリしました!
とはいえ、この数字を鵜呑みにしてほしくはありません。というのも、確かに勉強を始めたばかりの頃は、そんなに勉強しなくても、予備校のカリキュラムに追いついて行くこともできるんです。
予備校も、最初の頃は勉強に対するハードルを低くするために、講義のコマ数や教材の量も少なめに設定しているからです。
しかし、試験が近づくにつれて、徐々に講義のコマ数や教材の量が増えたり、模試(答練)などもどんどん配られます。そのため、すべてを消化しようとすると必要な勉強時間もどんどん増えます。
また、公認会計士試験は割と短期間のうちに詰め込んだ知識が、記憶から抜け落ちないうちに本番に突っ込んでいく試験でもあるため、直前期に勉強時間を多めに確保したほうが合格しやすい傾向にあります。
勉強を始めた段階ではそんなに勉強時間を確保しなくても、試験が近づくにつれて多めに勉強時間を確保(例:1日10時間以上勉強)すれば、合格できる可能性をグッと高められます。
逆に言えば、最初は勉強できていたとしても、途中でエネルギー切れを起こしてしまって、直前期に勉強をサボってしまったら不合格になる危険性もあります。
やはり人間は、何か新しい物事を始めたときはモチベーションが高い傾向にありますが、継続するうちにモチベーションが下がる性質を持ってます。
というわけで、いかに勉強に対するモチベーションを本番に向けて高めていくことができるかが、公認会計士試験を制するための秘訣と言えるでしょう。
私の勉強時間実績について
本項目では、実際に私が公認会計士試験の合格までに、どれぐらい時間がかかったのかをお話しします。
私が合格までにかかった勉強時間は、大体2,800時間くらいです。1日の勉強時間は、勉強を始めたばかりの頃は全然少なくて、せいぜい1~3時間程度でした。日によってはバイトやサークルに参加していて、全く勉強しない日もありました。
そのせいで12月短答に不合格になってしまって、2ヶ月ぐらい絶望の日々を過ごしたのですが、その日々を乗り越えて3月頃から本気を出し始めました。
3月から8月末の論文式試験までの半年間は、ほぼ毎日12時間程度の勉強を続けていました。直前期にそれぐらい本気を出せば、仮に勉強時間が十分に確保できなくても、割と何とかなる試験なんだと思ってもらえれば。
あと、試験科目別の勉強時間についてもお話ししておきます。各試験科目についての解説は、以下の記事をご覧ください。
短答式試験の科目別勉強時間
短答式試験の勉強をするときは、試験科目の基礎的な知識から身に付けておかなければいけないため、どうしても勉強時間が長くなってしまう傾向にありました。
科目別のおよその勉強時間は、以下のとおりでした。
- 財務会計論:約860時間
- 管理会計論:約400時間
- 企業法:約340時間
- 監査論:約200時間
- 合計:約1,800時間
やはり、財務会計論に一番時間かかってますね。公認”会計”士なので、ダイレクトに会計と関連する科目のボリュームが多く、勉強に時間がかかってしまうのは仕方がありません。
反対に、監査論にはあまり時間をかけてないですね。これは単純に、監査論のボリュームが少ないからと、監査論自体が費用対効果の悪い科目だからです。
監査論は実務と直結した科目なので、実務経験のない受験生にとってはとっつきづらくて難しい科目です。時間をかけて勉強したところで点数を取りづらい科目なので、時間をかけ過ぎても仕方ないんですよね。
ですので、私は監査論の勉強に時間をかけないように意識していました。ただ、そのせいで監査論の短答式試験の成績は6割5分だったので、若干失敗したんですけどね… 。
しかしその分、他の科目の勉強に時間をかけることができて、他の科目で監査論の失敗をカバーできたので、無事に短答式試験にも合格できました。
論文式試験の科目別勉強時間
次に、論文式試験の勉強時間についてです。こんな感じでしたね。
- 財務会計論:約300時間
- 管理会計論:約50時間
- 監査論:約80時間
- 企業法:約120時間
- 租税法:約350時間
- 経営学:約100時間
- 合計:約1,000時間
私は5月の短答式試験に合格したので、8月の論文式試験までわずか3ヶ月しか勉強期間がありませんでした。だからトータルの勉強時間もかなり少なくなっています。
ただ、やはり勉強に時間かかっているのは租税法と財務会計論ですね。租税法は、法人税法・所得税法など計算のボリュームが多く、かなりの時間を割かなければなりませんでした。
財務会計論も、暗記しなければならないことが多く、時間がかかってしまいました。
逆に、管理会計論には全然時間をかけていなくて、ほぼ答練(模試)を解くだけで終わってしまいました。経営学もゼロの状態から勉強始めたのですが、科目全体のボリュームが少ないので、割と短い勉強時間ですみました。
企業法もそれなりに時間がかかりましたが、以下の記事に書いてあるような勉強法を実践すれば、他の受験生よりも短い時間で完成させられました。
監査論も短答式試験と同じく、科目全体のボリュームも暗記すべきところも少なかったので、比較的少ない勉強時間ですみました。全体を通して、論文式試験はかなり上手く勉強を進められたかなと思います。
以上、ご参考にしていただければと思います!